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はじめに
ベルギーは国土こそ小さいが、世界最多のビール種類数を誇る”ビール大国”として知られる。2024年時点で411以上の醸造所が存在し、ピルスナーから白ビール、フルーツビール、ランビック、トリペルまで非常にたくさんのビールが醸造されている。
- ベルギービールの主要スタイルと特徴
- 定番から個性派クラフトまで8銘柄の紹介
本記事では修道院・トラピストビール編(シメイ・オルヴァルなど)とは別に、一般流通している人気銘柄にフォーカスして紹介する。
ベルギービールのスタイル早わかり
ベルギービールの主要スタイル:
- ピルスナー … 淡色ラガー。軽快でクリーン。ステラアルトワ・ジュピレールが代表
- ホワイトビール(ウィット) … 小麦・コリアンダー・オレンジピールで仕込む白濁ビール。ヒューガルデンが代表
- アビーエール … 修道院スタイルで醸造。レフが代表
- ベルジャンブロンドエール … 金色で高アルコール。デュベル・ラ・シュフが代表
- トリペル … 強い金色エール(8〜10%)。トリプル・カルメリートが代表
ベルギービール おすすめ8選
| 銘柄 | スタイル | 度数 | 定番度 |
|---|---|---|---|
| Stella Artois› | ピルスナー | 5.2% | ★★★ |
| Jupiler› | ピルスナー | 5.2% | ★★★ |
| Hoegaarden› | ホワイトビール | 4.9% | ★★★ |
| Duvel› | ベルジャンブロンドエール | 8.5% | ★★ |
| Delirium Tremens› | ゴールデンエール | 8.5% | ★★ |
| Pauwel Kwak› | ベルジャンストロングエール | 8.4% | ★★ |
| Tripel Karmeliet› | トリペル | 8.4% | ★★ |
| La Chouffe› | ブロンドエール | 8% | ★ |
- ★★★ … ベルギー国内外で広く流通する最大手クラス
- ★★ … バーや専門店で定番。ビール好きなら必飲
- ★ … クラフト・個性派。専門店・ビアバーで出会える
Stella Artois(ステラアルトワ)
- 定番度:★★★
- 創業:1366年(Stellaブランドは1926年に誕生)
- 醸造元:AB InBev(本社:ルーヴェン)
- スタイル:ピルスナー(5.2%)
1926年にベルギー・ルーヴェンで誕生した、世界で最も広く飲まれるベルギービールのひとつ。現在は世界最大のビール会社AB InBev傘下で、90か国以上に輸出されている。
味わいは軽快でクリーン、ほのかな麦の甘みと爽快なホップの苦み。雑味が少なく食中酒として幅広い料理に合わせやすい。ベルギー現地では「ステラ」と呼ばれ親しまれるが、国内よりも輸出向けのグローバルブランドとして世界規模で知名度が高い。

Jupiler(ジュピレール)
- 定番度:★★★
- 創業:1966年(ジュピーユ)
- 醸造元:AB InBev
- スタイル:ピルスナー(5.2%)
ベルギー国内での販売量No.1を誇る国民的ピルスナー。ベルギー人が日常的に最も飲むビールとして知られ、地元のカフェ・スーパー・スポーツバーで必ず目にする。サッカーのベルギー代表チームのスポンサーとしても有名。
ステラアルトワよりやや麦の風味が強く、コクのある飲み口。苦みはおだやかで飲みやすく、フライドポテト(フリット)やムール貝などのベルギーB級グルメと抜群の相性を誇る。

Hoegaarden(ヒューガルデン)
- 定番度:★★★
- 醸造の起源:1318年(ホーハールデン村)
- 現代醸造所:1966年設立(現AB InBev傘下)
- スタイル:ベルジャンホワイトビール(4.9%)
1318年から続く歴史を持つホーハールデン村で生まれたベルジャンホワイトビールの代名詞。小麦とコリアンダー、オレンジピールを使った独特のレシピは世界のホワイトビールの原型とも言える存在。
見た目は白く濁り(未濾過の酵母)、口当たりはまろやかでシトラスの爽やかな香りが広がる。度数が低く飲みやすいため、ビール初心者にも人気。

Duvel(デュベル)
- 定番度:★★
- 創業:1871年(プールス=シント・アマンズ)
- 醸造元:Duvel Moortgat Brewery(デュベル・モールトハット)
- スタイル:ベルジャンゴールデンストロングエール(8.5%)
「デュベル(Duvel)」とはフラマン語で「悪魔」を意味する。試飲した醸造家が「これはまるで本物の悪魔だ(nen echten duvel)」と叫んだことが名前の由来。1871年創業の家族経営蔵・Duvel Moortgatが製造し、40か国以上に輸出されている。
度数8.5%ながら驚くほど飲みやすいフルーティーな口当たりが特徴。グラスに注ぐと豊かな泡が立ち、フルーティーな香りと乾いたホップのバランスが心地よい。ベルギー国内では「一番飲まれている瓶ビール」として知られる。

Delirium Tremens(デリリウム・トレメンス)
- 定番度:★★
- 醸造所設立:1906年(メル/東フランデレン州)
- 醸造元:Brouwerij Huyghe(ホイヘ醸造所)
- スタイル:ベルジャンゴールデンエール(8.5%)
1988年12月26日に初醸造。ラベルのピンクの象のトレードマークが世界中のビールファンに愛されるブランド。2008年のシカゴ「ワールドビア選手権」で世界最高のビールに選ばれた実績を持つ。
味わいはコリアンダーと甘いスパイスが香るゴールデンエール。8.5%と高度数ながらなめらかな飲み口で、フルーティーで複雑な香りが重なる。「デリリウム(Delirium)」シリーズはレッド(フルーツビール)・ノクトゥルム(ダークエール)など多数展開している。

Pauwel Kwak(パウウェル・クワク)
- 定番度:★★
- 醸造所:1791年創業(ブッヘンハウト)→現AB InBev傘下
- スタイル:ベルジャンアンバーストロングエール(8.4%)
18世紀の宿屋主人「パウウェル・クワク」の名に由来するベルギーの個性派ビール。最大の特徴は丸底のバルーン型グラスと専用の木製スタンド。コーチマン(馬車の御者)が馬に乗ったまま飲めるよう考案されたという逸話が有名で、その独特のグラスはビールを注文するとセットで提供される。
味わいはキャラメルと赤い果実のような甘みに、しっかりとしたホップのバランスが心地よいアンバーエール。飲み終わった後にグラスを返すのが習慣とされる。

Tripel Karmeliet(トリプル・カルメリート)
- 定番度:★★
- 初醸造:1996年(1679年のカルメル会修道院レシピに基づく)
- 醸造元:Brouwerij Bosteels(現AB InBev傘下)
- スタイル:ベルジャントリペル(8.4%)
1679年のカルメル会修道院のレシピを現代に蘇らせた個性的なトリペル。大麦・小麦・燕麦(オーツ麦)の3種の穀物を使用することが名前の由来(Tripel = 三重)。1996年に初醸造され、以後ベルギーを代表するトリペルとして高く評価されている。
味わいはフルーティーでバニラを思わせる甘い香り、滑らかなコクと上品な苦みが調和。度数8.4%ながら複雑で洗練された飲み口で、ビールのコンクールで多数の賞を受賞している。

La Chouffe(ラ・シュフ)
- 定番度:★
- 創業:1982年(アルデンヌ地方アシュフ)
- 醸造元:Brasserie d’Achouffe(現Duvel Moortgat傘下)
- スタイル:ベルジャンブロンドエール(8%)
1982年にベルギー・アルデンヌ地方の小屋で、2人の義兄弟が趣味として醸造を始めたのが起源。ラベルのトレードマークはアルデンヌの伝説に登場する森の小人(ノーム)で、いたずら好きで愛らしいキャラクターがビール好きに親しまれている。2006年にDuvel Moortgatグループに加入し、現在は72か国に輸出。
味わいはコリアンダーの爽やかな香りとフルーティーなエステル感が特徴のブロンドエール。8%の高度数ながら飲みやすく、アルデンヌの山小屋のような牧歌的な雰囲気を感じられる一本。ホップを追加したMc Chouffe(ダークエール)やHoublon Chouffe(IPA)など派生商品も充実。

お土産におすすめのビール
Delirium Tremens(デリリウム・トレメンス)
ピンクの象ラベルが見た目にもインパクト抜群。世界最高のビールに選ばれた実績があり、ビール好きへのお土産として喜ばれる。
- 入手目安:ビアショップ・空港免税店・Delhaize(スーパー)
Pauwel Kwak(クワク)
独特のバルーングラス付きギフトセットが販売されており、見た目のインパクト・話題性ともに最高のお土産。
- 入手目安:ビアショップ・Delhaize・空港
La Chouffe(ラ・シュフ)
ノームのキャラクターラベルがかわいく、大瓶(75cl)がギフト映えする。個性的な味わいもビール好きに喜ばれる。
- 入手目安:ビアショップ・Carrefour大型店・空港
- 液体は機内持ち込み不可のため預け荷物へ。ボトルは衣類で包みビニールで二重封。
- ベルギーの空港(ブリュッセル国際)にはビール専門の免税店があり充実している。
FAQ
ベルギービールで一番有名な銘柄は?
世界的知名度ではStella Artois(ステラアルトワ)が断トツ。ベルギー国内での消費量1位はJupiler(ジュピレール)。ビール好きの間での人気はDuvel(デュベル)やDelirium Tremensが高い。
ベルギービールはなぜ度数が高いものが多い?
中世の修道院醸造が起源で、修道士たちが栄養補給のために高濃度のビールを作ったことが背景にある。また、ベルギーはワイン文化も強く、ビールにも複雑な風味と個性を求めるという食文化がある。現在のトリペル・ストロングエール系(8〜12%)はその伝統を受け継ぐ。
ステラアルトワとジュピレール、どっちがおすすめ?
どちらも同じAB InBev製のピルスナーで似た系統。違いはステラアルトワがより軽快・クリーンで国際的、ジュピレールが麦のコクが少し強めでベルギーローカル向け。ベルギーの雰囲気を楽しみたいならジュピレール、すっきり飲みたいならステラアルトワがおすすめ。
ベルギービールの修道院ビールとの違いは?
本記事で紹介した銘柄は「一般商業流通ビール」。シメイ・オルヴァル・ロシュフォールなどは実際の修道院(トラピスト修道院)で醸造された本物のトラピストビールで別物。レフは修道院との契約はあるがAB InBevが製造するアビーエール(商業的な修道院スタイル)に分類される。詳しくはベルギー修道院ビール編を参照。
まとめ
ベルギーは面積こそ小さいが、多種多様なビールを生み出してきた世界最高峰のビール文化を持つ国だ。観光で訪れた際はスーパー「Delhaize」やビアショップで地元のビールを探してみてほしい。

