はじめに:この記事でわかること
- ✅ スイス旅行者向けの交通パスの種類と概要
- ✅ スイスハーフフェアカード(Swiss Half Fare Card)ってどんなチケット?どんな人におすすめ?
- ✅ セーバーデイパス(Saver Day Pass)の特徴と使いどころ
- ✅ スイストラベルパスとスイストラベルパスフレックスの違い
- ✅ その他のお得な交通パスの種類と概要
私が2024年にスイス旅行をした際、特に困ったのが「どの交通パスを選べばいいのか」でした。
スイストラベルパス? ハーフフェアカード? セーバーデイパス?
どれもお得そうに見えるけれど、名前が似ていて違いがわかりづらく、正直どれを選ぶべきか迷いました。
この記事では、私の実体験をもとに、旅行者向けのお得な交通パスの種類や違いをわかりやすく解説していきます。
▶ 【初心者向け】スイスの電車・バスなど乗り物の種類と乗り方ガイド

スイス全国で使えるお得な交通パス一覧
スイス全国で使える主要な交通パスの一覧がこちら。
これらのパスについては、記事の下の方でさらに詳しく説明します。
パス名 | 特徴 | 有効期間 | 向いている人 | 価格帯 | 購入時期 |
---|---|---|---|---|---|
スイスハーフフェアカード | 多くの交通機関が半額になる | 1か月間 | 自由に移動したい人/移動が多い人 | CHF 120 | 直前・当日でもOK |
セーバーデイパス | 多くの交通機関が乗り放題 | 1日 | 日帰り旅行や長距離移動の予定がある人 | CHF 29〜 | できるだけ早めに購入 |
スイストラベルパス | 多くの交通機関が乗り放題 | 3〜15日間(連続) | 連日移動・周遊型で観光する人 | CHF 244〜(3日) | 事前購入がおすすめ ※25歳未満 30%割引 |
スイストラベルパス・フレックス | 多くの交通機関が乗り放題 | 3〜15日間(飛び飛びでもOK) | 周遊型だが移動日が連続でない人 | CHF 279〜(3日) | 事前購入がおすすめ ※25歳未満 30%割引 |
スイスファミリーカード | 多くの交通機関が乗り放題 | 親のパスと同じ期間 | 6〜16歳未満の子連れファミリー | 無料 | 親が上記4種のパス購入時に申し込み/同行必須 |
各交通パスについて詳しく説明
■スイスハーフフェアカード(Swiss Half Fare Card)とは?
スイス全国の主な電車、バス、登山鉄道、船、ロープウェイなどが半額になるチケット。
※一部は25%OFFなど、割引率が異なる場合もある。
ハーフフェアカードの強力なところは、セーバーデイパスなどの乗り放題系チケットの購入時にも割引が適用される点。
そのため、いくつかの地域をまたいで長距離移動をする旅では、「スイスハーフフェアカード+セーバーデイパス」の組み合わせが非常に有効。
5歳以下の子供は大人と同伴の場合交通機関が無料なのでハーフフェアカードは不要。
6〜16歳未満の子供は、大人と同伴+大人がハーフフェアカードを購入する場合は、
無料で「スイスファミリーカード」が発行されるため、同じくハーフフェアカードは不要。
▶ ハーフフェアカードの買い方・使い方などさらに詳細はこちら
■セーバーデイパス(Saver Day Pass)とは?
多くの交通機関が1日乗り放題となるチケット。
スイスハーフフェアカードを持っていると、より安く購入できる。
- ハーフフェアカードあり:29CHF〜
- ハーフフェアカードなし:52CHF〜
セーバーデイパスは利用日の6ヵ月前から販売開始され、価格は在庫に応じて変動する仕組み。
価格ごとに数量が決まっているとみられ、早く買うほど安く入手しやすい。
ただし、セーバーデイパスはハーフフェアカードより適用範囲がやや狭い。
例えば、一部の登山鉄道やロープウェイは無料対象外で、割引適用または別料金となる場合がある。
5歳以下の子供は大人と同伴の場合交通機関が無料なのでセーバーデイパスは不要。
6〜16歳未満の子供は、大人がセーバーデイパスを購入し、同伴する場合、
無料で「スイスファミリーカード」が発行され、同じくセーバーデイパスは不要。
※購入ページには2nd class、1st classという記載があるが、1st classというのは日本で言うグリーン車のこと。一部の電車では広いグリーン車があるので、そこに乗るためには1st classの方を買う必要がある。
■スイストラベルパス(Swiss Travel Pass)とは?
多くの交通機関が◯日間乗り放題となるチケット。
スイスハーフフェアカードを持っていても割引されない。
利用日数は3日〜15日間から選択でき、すべて連続日での指定となる。
例:7月2日から3日間 → 7月2日〜4日が乗り放題期間。
スイストラベルパスは、スイス全土の多くの鉄道・バス・船が乗り放題になるほか、
500以上の美術館や博物館の入場料が無料になるという特典も付いている。
ただし、一部の登山鉄道やロープウェイは無料対象外で、割引または別料金となるケースがある。
行き先によっては追加費用が発生するため、事前の確認が必要。
5歳以下の子供は大人と同伴の場合交通機関が無料なのでスイストラベルパスは不要。
6〜16歳未満の子供は、大人がスイストラベルパスを購入し、同伴する場合、
無料で「スイスファミリーカード」が発行され、同じくスイストラベルパスは不要。
25歳未満の場合、30%割引で購入可能。
※購入ページには2nd class、1st classという記載があるが、1st classというのは日本で言うグリーン車のこと。一部の電車では広いグリーン車があるので、そこに乗るためには1st classの方を買う必要がある。
■スイストラベルパス・フレックス
利用範囲や特典はスイストラベルパスと同じ(電車・バス乗り放題、美術館・博物館無料など)。
最大の違いは「連続しない日」を指定できる点。
例:7月2日・7月4日・7月7日の3日間で使用する、といった使い方が可能。
※ただし、最初の利用日から1ヵ月以内の日程に限る。
その分、通常のスイストラベルパスより料金が高め。
- スイストラベルパス(2ndクラス・3日間):244CHF
- スイストラベルパス・フレックス(2ndクラス・3日間):279CHF
🔗 ▶ 公式サイトでスイストラベルパス・フレックスの詳細を見る
■スイスファミリーカードとは?
6〜16歳未満の子どもが、大人と一緒に移動する場合に無料で利用できるファミリー向けパス。
大人がスイスハーフフェアカード/セーバーデイパス/スイストラベルパスなどの全国パスを購入する際に、無料で発行可能。同行が利用条件となる。
補足:「スイスパス(SwissPass)」について
旅行前に、乗り放題チケットを「スイスパス」と紹介しているサイトを見て少し混乱した。
調べてみると、かつて「スイストラベルパス(Swiss Travel Pass)」は「スイスパス(Swiss Pass)」と呼ばれていた時期があるらしい。
一方で、現在スイスには「SwissPass(スイスパス)」という交通関連サービスの共通プラットフォームが存在しており、観光客がセーバーデイパスなどの交通パスを購入する際にも、この「SwissPassアカウント」の作成が必要になる。
(ここで言うSwissPassは、スイストラベルパスなどの乗り放題パスそのものとは別物)
※なお、スイス在住者は赤いICカード「SwissPassカード」を使って定期券やサービスを利用しており、これも同じプラットフォームに紐づいている。

その他地域限定で使える交通パス
地域限定で使える乗り放題パスもあります。
これらはスイス全土を周遊せず、特定の都市や地方だけを観光する場合に有用です。
パス名 | 対象エリア | 特徴 | 有効期間 | 向いている人 | 価格帯 | 購入場所 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
チューリッヒカード (Zürich Card) | チューリッヒ市内全域(Zone 110など) | 公共交通機関が乗り放題 | 24時間, 72時間 | チューリッヒ市内を観光・移動し、博物館や美術館も行きたい人 | 29CHF, 56CHF | 駅の券売機・窓口・オンライン | 美術館・博物館の入場無料または割引あり |
24時間券 (24h-Ticket) | チューリッヒの指定のZone(例:Zone 110, 120など) | チューリッヒ中心部のみ移動・観光する人 | 購入から24時間 | チューリッヒ中心部のみ移動・観光する人 | 9.2CHF〜 | 駅の券売機・窓口・ZVVアプリ | ハーフフェアカード所持で割引 |
ジュネーブトランスポートカード (Geneva Transport Card) | ジュネーブ市内ほぼ全域(Zone10) | 公共交通機関が乗り放題 | 宿泊期間中 | ジュネーブのみ移動・観光する人 | 無料(ジュネーブのホテル宿泊者向けに市が提供) | ホテルチェックイン時に配布 | |
デイパス (Day passes) | ジュネーブ市内ほぼ全域(Zone10) | 公共交通機関が乗り放題 | 購入日〜翌朝5時 | ジュネーブのみ移動・観光する人 | 8CHF〜 | 駅、券売機、アプリなど | ハーフフェアカード所持で割引 |
Lucerne Guest Card (ルツェルンゲストカード) | ルツェルン市と周辺エリア | 公共交通機関が乗り放題 | 宿泊期間中 | ルツェルン宿泊で市内・周辺を観光する人 | 無料(ルツェルンのホテル宿泊者に配布) | ホテルチェックイン時に配布 | |
Bern Ticket (ベルンチケット) | ベルン市内 | 公共交通機関が乗り放題 | 宿泊期間中 | ベルン宿泊で市内を観光する人 | 無料(宿泊者に配布) | ホテルチェックイン時に配布 | |
Zermatt Peak Pass (ツェルマットピークパス) | ツェルマット周辺 | ゴルナーグラート鉄道やロープウェイなどが乗り放題 | 1〜30日間 | ツェルマット周辺のみを観光したい人 | 212CHF〜(時期により変動) | 現地駅またはオンライン | ハーフフェアカード所持で25%引き。スキーリフトは対象外 |
Jungfrau Travel Pass (ユングフラウ・トラベルパス) | ユングフラウ地方 | 登山鉄道、ケーブルカー、電車が乗り放題 | 3〜8日間 | ユングフラウ地方のみを観光したい人 | 210CHF〜(時期により変動) | 現地駅またはオンライン | ハーフフェアカード所持で25%引き |
※Check-in-Ticket など、観光初心者にとってやや難易度の高いチケットを除外
※上記の他の地域にも地域限定チケットはあるが、書ききれないため省略

交通パス購入事例・モデルケース
【例1】都市だけ楽しむチューリッヒ3日間の旅
✅ 1日目:「24h-Ticket(9.2CHF)」で市内観光
✅ 2日目:「チューリッヒカード(24時間)(29CHF)」で美術館や博物館めぐり
✅ 3日目:「24h-Ticket(9.2CHF)」で市内観光
パス利用あり:計 47.4CHF
パス利用なし:計 72.0CHF
→ 約20CHF以上お得!
※移動でトラム3回+美術館+博物館利用の想定
【例2】ジュネーブ泊でレマン湖観光+翌日チーズ村グリュイエール日帰り旅行
✅ ジュネーブ市内は「ジュネーブトランスポートカード」で無料移動
✅ グリュイエールへは「セーバーデイパス(52CHF)」で往復
パス利用あり:計 52CHF
パス利用なし:計 93CHF
→ 約40CHF以上お得!
※往復移動84CHF+市内交通費(約9CHF)の想定
【例3】チューリッヒからグリンデルワルトとツェルマットを両方巡る周遊旅
✅ 1日目:「スイスハーフフェアカード(120CHF)」+「24h-Ticket(6.4CHF)」で市内観光
✅ 2日目:「セーバーデイパス(29CHF)」でグリンデルワルトへ移動
グリンデルワルトでロープウェイ乗車「ハーフフェアカード適用 往復34CHF」
✅ 3日目:グリンデルワルト滞在(2泊)ロープウェイ乗車「ハーフフェアカード適用 往復34CHF」
✅ 4日目:「セーバーデイパス(29CHF)」でツェルマットへ移動・観光
✅ 5日目:「セーバーデイパス(29CHF)」でチューリッヒへ戻り+市内観光
パス利用あり:計 281.4CHF
パス利用なし:計 473.4CHF
→ 約190CHF以上お得!
※グリンデルワルト移動84CHF・ツェルマット移動97CHF・チューリッヒ移動130CHF・ロープウェイ136CHF・市内交通費26.4CHF想定
★料金はシーズンや予約タイミングによって変動する場合があります★

まとめ
私は例3のパターン(出発点はジュネーブ)でスイス国内を周遊したのだが、もし知識0でセーバーデイパスやハーフフェアカードを活用せずに移動していたら、何万円も損してたんだな…と思うとけっこう怖い。
ちゃんと調べて旅行するの大事と改めて思った。