はじめに:この記事でわかること
- ✅ 旅行者向けのスイスの主な移動手段
- ✅ 交通関連の単語の意味(tpg、IC、IRなど)
- ✅ 乗り物の乗車方法やチケットの買い方
- ✅ 各乗り物の注意点
この記事では、初めてスイスを旅行する人に向けて、「どんな乗り物があるの?」「電車と登山鉄道の違いは?」「トラムってどう乗るの?」といった疑問を解決します。
スイスの交通機関はとても便利で整っていますが、日本とは違う点も多く、事前に知っておくだけで安心して旅行を楽しめます。
スイスの主な移動手段・交通インフラの全体像
スイス旅行者が利用する交通機関を、種類ごとに整理したのが以下の表。特徴や運営会社も合わせて記載している。
種類 | 内容 | 代表例 | 運営主体 |
---|---|---|---|
長距離列車 | 全国を結ぶ主要路線 | IC(インターシティ)、IR(インターレギオ) | SBB(スイス連邦鉄道) |
登山鉄道・山岳鉄道 | 山岳部への観光路線 | ゴルナーグラート鉄道、ユングフラウ鉄道 | 私鉄・地域会社 |
近郊列車 | 都市と郊外をつなぐ | RE、R、S-Bahn | SBB、地域交通局 |
トラム・バス(都市内交通) | 市内の移動に便利 | tpg(ジュネーブ)、VBZ(チューリッヒ) | 各都市の公営企業 |
ポストバス(PostAuto) | 地方部を網羅する黄色いバス | グリンデルワルト〜バスアルプ | PostAuto社(スイス郵便グループ) |
ロープウェイ/ケーブルカー | 登山や展望台アクセス | フィルスト、シュトッセック | 各地の観光会社・私営 |
船・遊覧船 | 湖を使った移動・観光 | レマン湖、チューリッヒ湖 | 各地の観光会社・私営 |
※スイスでは、略称や記号で列車の種類が表示されることが多いが、それぞれにスピード・停車駅・対象エリアの違いがある。旅行前に知っておくと、移動の計画が立てやすくなる。
よく出てくる交通用語の意味をざっくり解説
スイス旅行中に見かける「IC」「IR」「S-Bahn」などの略称や単語については以下の通り。
IC(InterCity):特急。主要都市を高速で結ぶ長距離列車。チューリッヒ〜ジュネーブなどの都市間移動に便利。
IR(InterRegio):準特急。ICよりやや遅めで、途中駅にも停車する中距離列車。都市+地方都市をつなぐ路線が多い。
RE(Regio Express):急行。地域の急行列車。IRよりさらにローカル色が強く、短中距離の移動向き。
R(Regio):各駅停車。各駅に停まるローカル列車。観光というより、地元住民の生活の足という位置づけ。
S-Bahn:都市と郊外を結ぶ通勤・近郊鉄道。チューリッヒ・バーゼル・ベルンなどの都市圏で運行されており、朝夕の通勤・通学時間帯は混雑する。ドイツ語圏を中心に展開される都市交通網の一部。
SBB:スイス連邦鉄道(Schweizerische Bundesbahnen公式サイト)。日本でいうJRのような全国規模の鉄道会社。IC・IRなどを運行している。
tpg:ジュネーブの公共交通機関(Transports publics genevois)。市内のトラム・バスを運行。
VBZ:チューリッヒ市交通局(Verkehrsbetriebe Zürich)。チューリッヒのトラム・バス等を運行。
BLS:スイスの私鉄会社(Bern–Lötschberg–Simplon)。ベルン周辺の路線や観光列車を多数運行。レッチュベルク峠越えルートが有名。
Glacier Express:氷河急行。ツェルマット〜サンモリッツを結ぶ超人気観光列車。ゆっくり進み、絶景を楽しむ仕様。全席指定で要予約・追加料金あり。
PostAuto(ポストバス):スイスの地方の鉄道駅から山間部や小さな村へアクセスできる重要な交通手段。バス後方に「ホルンマーク(郵便ラッパ)」のロゴがあるのが特徴。PostAutoの公式サイトはこちら

電車やバスなどの乗車方法は?予約は必要?
スイスに行った際に「日本と違うな」と思った点に、駅でのチケットのチェックが無い点がある。
ほとんどの公共交通機関が自由乗降方式(オープンアクセス)を採用していて、日本のような改札口が基本的にないらしい。
✅ 電車(IC・IR・Regio・S-Bahnなど)の乗車方法
- チケットは券売機・窓口・SBB公式アプリやWebサイトから購入可能。
- IC(InterCity)などの長距離列車では、車内で車掌が検札に来る。
- Regioなどは車掌がこないこともあるが、まれに抜き打ちチェック(コントロール)がある。
- Sバーンも同様で、改札はなく、車内で検札されることがある。
- チケット未所持が見つかると、高額な罰金(100CHF超)が科されるので要注意。
- IC・IR・Regio・Sバーンなどの通常の列車は予約不要で、空いている席に自由に座れる。氷河特急など一部の観光列車は座席予約が必須。
- ハーフフェアカードやスイストラベルパス、セーバーデイパスの対象路線が多く、割引や乗り放題での乗車が可能。氷河特急など一部の列車では座席指定料金などは別途必要。
スイスの鉄道チケットは、SBB公式サイトや、SBB Mobileアプリからも購入できる。どちらも英語対応・日本のクレジットカード利用可で、トラムやバスのチケットも買えるため、旅行者にとって非常に便利。

✅ トラム・バスの乗車方法
- チケットは停留所にある券売機やアプリで事前購入。
- 車内や改札でのチェックはなく、運転手に見せる必要もない。
- 抜き打ちのチェックがあるため、無賃乗車と見なされないようチケットは必ず購入を。無賃乗車が発覚した場合、観光客でも容赦なくその場で罰金が科される。
- ハーフフェアカードやスイストラベルパス、セーバーデイパスの対象路線が多く、割引や乗り放題の適用が可能。

✅ 登山鉄道や山岳交通の乗車方法
- チケットは券売機・窓口・SBBアプリや公式WEBサイトで購入可能。
- 改札はなく、乗車後に車掌が車内でチケットを確認。
- 一部(例:ユングフラウ鉄道の一部区間)は時間指定予約制。混雑期や特定区間では事前予約がおすすめ。
- スイストラベルパス、セーバーデイパスは無料で乗れる路線もあるが、割引のみまたは適用されない路線もあり、適用状況はまちまち。事前確認がおすすめ。
- ハーフフェアカードは、ほぼすべての登山鉄道で50%割引が適用される。

✅ ポストバス(PostAuto)の乗車方法
- 券売機またはSBBアプリでチケット購入。
- 一部地方路線では車内で運転手から現金購入可能。
- 抜き打ちチェックあり。必ずチケット購入を。
- 「STOPボタン」で降車リクエストを出す仕組みが多い。
- スーツケースなどは下部収納へ預けられることも。
- スイストラベルパス、セーバーデイパスは大半の路線で無料乗車が可能(ただし一部観光路線などは例外あり)。ハーフフェアカードは基本的にすべての路線で50%割引が適用される。
✅ ロープウェイ・ケーブルカーの乗車方法
- 窓口または券売機でチケット購入。
- 改札・係員確認・自動ゲートなど、チケットの確認は施設により異なる。
- スイストラベルパス、セーバーデイパスは一部のロープウェイやケーブルカーで無料乗車になるが、割引のみ・対象外となる路線も多い。ハーフフェアカードは多くの路線で50%割引が適用される。

✅ 船(遊覧船)の乗車方法
- チケットは船着場の券売機または窓口で購入可能。
- 改札はなく、乗船後に係員がチケットを確認。
- 基本は自由席、1等やデッキ席は追加料金がかかる場合あり。
- ほとんどの船路線で、ハーフフェアカード・スイストラベルパス、セーバーデイパスが利用可能。ごく一部、パーティークルーズなど例外があるため、念のため事前確認がおすすめ。

お得なチケット・パスについて
スイスの電車やバスなどの交通費は、正直びっくりするほど高い。
そのため、お得なチケットや割引パスをうまく活用することが大切。
たとえば有名なパスには、以下のようなものがある:
- スイスハーフフェアカード(Half Fare Card)
- スイストラベルパス(Swiss Travel Pass)
- セーバーデイパス(Saver Day Pass)
- 各都市の1日乗車券(例:チューリッヒのトラム・バスのワンデイパス)
…などなど、種類が多くて、どれを選べばいいか迷うのが正直なところ。
旅行のスケジュールや訪れるエリアによって、最適なチケットは変わってくる。
各パスの特徴や違い、どんな旅行者におすすめかについては、別記事に詳しくまとめる予定。
記事公開後にリンクを追記するので、ぜひ参考にしてもらいたい。
観光ルートや都市間の移動についても、おすすめのルートや移動方法も今後別記事で作成予定。
※「スイスの鉄道パス・お得なチケットガイド・各地の移動おすすめルート」の記事は現在準備中。

まとめ
私が2024年にスイス(ジュネーブ)へ旅行した際、特に困ったのが「現地での移動方法」だった。
どんな乗り物があるのか?どのパスを使えば安くなるのか?
初心者に理解しやすくまとまっている情報が少なく、現地に行ってから戸惑う場面も多かった。
この記事では、スイスの交通手段の全体像(乗り物の種類・特徴)に絞って紹介した。
今後、より具体的な移動ルートや、お得なパスの選び方についても別記事で整理していく予定。
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